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プロジェクトエンジニアを僭称(?)中

仙台大観音のナゾ その4 「電波ゆんゆん」

―――1993年 南中山中学校1年1組―――

「おい、最近うちのテレビの画像が乱れるようになったんだが。」
「お前の家もか?なんか最近、特に仙台放送の映りが悪いよな・・・?うちの南中山三丁目西町内会でも、そんな話が出てて、日に日に画像が悪化しているんだよ。」
「そうか?南中山一丁目はそうでもないが・・・。」
仙台大観音像の建造が開始されて、はや数か月。
黒い脚組に囲まれた建造物は日々高さを増しており、あっという間に仙台全域からでも建設の途中経過が見られるほど成長した「大仏」。その様子は大仏建立というよりは超弩級宇宙戦艦の建造のようであり、天高くそびえる姿は何とも言えない重厚な美しさを感じさせていたのでした。
ブログ用大観音P1020049.jpg
当時南中山中学生1年生だったカサマはその様子を見て一人胸を熱くする毎日だったのですが、ある日、学内では南中山全域で広がるテレビ画面の乱れという怪奇現象が話題となったのです。
しかし少年たちはみな、うすうすその原因に気づいていました。
「おい、カサマ。世界の大仏に詳しいお前は、何か心当たりはないか?」
よせやい、私が詳しいのは弘仁貞観文化時代の大仏だけだよ。それはともかく、電話級アマチュア無線技士である私の、あくまでも仮説なんだが・・・、
あの作りかけの大仏が・・・じゃなかった電波を乱している気がするんだ。」
「なんだってー!」
驚く一同。
しかしその推測は当たっていたのです。
大仏の背後の地域で電波障害がおこっている事実は早々に報道されるようになり、単なる興味の対象の大仏は、地域住民に護国の安寧を与えるどころか、テレビが見られなくなるを一身に浴びることとなったのです。
永遠の娯楽の王様であるテレビが見られない。
これは文明生活には致命的でした。
そして大仏開眼をもくろむフタバカイハツが考え出した解決策は、驚くべきものでした。
(1)大仏の頭部にテレビ電波中継用アンテナ設置
ブログ用大観音頭部P1020079.jpg
そして
(2)全戸中継電波受信用アンテナ設置
大仏の北側斜面に位置する約5,000世帯の全てに、全てフタバカイハツの費用もちで受信用の小型アンテナが設置されたのです。
あの大仏の為に。
まさに「ザ・ニューワールド!!」
大仏は霊的な機能だけではなく、科学的な機能も実装され、霊と科学が高次に融合した人類史上初めてにして最恐の偶像が町内に完成したのです。
テレビ電波どころか、何か違うものもあの中継アンテナを介して各家庭に提供しそうです。
そもそも宗教も電波メディアも人を洗脳する意味では同じ・・・!すなわちあの大仏は、人々の心の中に地上の楽園を植え付ける装置!
その恐るべき事実に気づき、一人興奮するカサマ。
しかし、友人たちの反応は違ったのでした。
「ご利益どころか電波障害を引き起こすとは。」
「いやむしろ、大仏自らデンパを発するようになるとは」
「しかし、なんとサイバーな。」
「これが21世紀の大仏なのか・・・」
「だいたい常に頭からゆんゆん電波を出していたら、我々に何か健康被害とかないのか?」
「まて、観音の頭部アンテナと各家庭の受信アンテナは、神と我々のキズナなのだ。」
カサマはこう意味不明に答えるのが精いっぱいなのでした。
神の人間の絆DSCF5966.jpg
 神とニンゲンの絆
電波ゆんゆん。
お隣福島県の某高校の校歌が由来という無線好きの電波少年(後の某A大学校理工学部電波工学専攻である)にはよく知られた事実を心の中で反芻しながら、完成した大観音の前途多難を予期し、一人カサマは落涙するのでした。

この記事を書いた人

笠間 建

笠間建 (コミューナ・トランスレーション・デザイン有限責任事業組合)

事業連携担当。
プロジェクトエンジニアを僭称(?)中。PEは本来は工場オペレーション用語ですが、調査分析・事業企画・計画・実行など、プロジェクト全般を広義に「エンジニアリング」してきたキャリアパスで、他に良い表現が見つからないので。2008年9月から2010年8月まで、社会人学生として東京で貧乏大学院生生活を送っていましたが、2010年9月に無事修了して仙台に戻ってきました。
趣味は自転車、旅行、写真。

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