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2015年4月のアーカイブ

■免震構造東京駅.JPG

東日本大震災以降、免震工法が注目されていますが、建物の構造は、耐震構造、制震構造、免震構造に大別されます。

「耐震構造」は地震に対して耐えられるように構造計算によって構造部材(柱、梁、壁等)が決定され、建物の揺れは他の構造に比べ大きくなります。

「制震構造」は地震による揺れを制震部材(ダンパー等)により地震エネルギーを吸収し制御する構造です。免震構造は簡単に言えば、免震装置により揺れを免れる構造です。

「免震装置」の基本的な仕組みは地盤と建物を絶縁し、その間に免震装置(アイソレータ:絶縁体)を挟むことで地震エネルギーを建物に伝わりにくくし、地震の激しい揺れを軽減させます。また、ダンパーを併用する事で地震エネルギーを吸収します。

免震装置にはいくつかの種類がありますが、ゴムと鋼板を交互に何層にも重ねた積層ゴムを使ったものが一般的です。免震構造の歴史はまだ浅く、30年程度ですが耐用年数は60年程度を想定されています。現在、建築されている免震構造の建物は将来的に免震装置が更新できるように、交換のための開口部、搬入ルート等が考慮されています。

B社の免震装置体験実験車で、実際に私も体験しました。東日本大震災、阪神淡路大震災の場合の耐震建物の揺れ方、免震構造の揺れ方を比較してみると免震構造の揺れは単純に半分程度の揺れにしか感じませんでした。東日本大震災は仙台市内の鉄骨造のオフィスビルの6階で体験しましたが、立っていることも歩くこともできませんでした。

写真の東京駅赤レンガ駅舎は1914年(大正3年)に建築家、辰野金吾の設計により鉄骨レンガ造りで建てられたものですが、2012年に「免震レトロフィット工法」で改修されました。元の駅舎は太い松の杭が約1万本で支えられていましたが、アイソレータとダンパーの免震装置を設置する事により、巨大地震に耐えられているようになっています。既存建物についても免震装置設置が可能です。建物の規模、階数、用途、コスト等を考慮しながら構造を選定する必要があります。

※写真は東京駅赤レンガ駅舎夜景

この記事を書いた人

高橋 宏一

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