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小さなギモン調べてみました!

建築・不動産から言葉のトリビアまで、仕事の中で見聞きした小さなギモンを調べて報告していきます。

2018年1月のアーカイブ

去る1月27日に、
「仙台はなもく七三会 30周年記念講演」として、
「ILC計画~計画概要・現況、新たな地域創生を目指して~」
と題した、ILC戦略会議・東北ILC準備室の山下先生の
ご講演を拝聴する機会がありました。

ILC(国際リニアコライダー)の役割や意義、
計画概要や今後の展望等々、
大変多岐にわたり、しかしながらわかりやすくお話していただき、
とても勉強になりました。

その中で、ILC完成のあかつきに、世界中から集まる研究者の方々、
つまりILCを使用する人=ユーザー及びそのご家族、
関係者の方々の日本での生活環境整備に関してのお話が出ました。

現況の計画では、
ILCに関係して直接的に増加する人口は、
建設期間内で、最大8000人程度(工事関係者含む)
完成後の運用期間内で、6000人前後、
この内、半分強が外国人研究者とその家族と見込まれています。

もちろん、間接的な生活サポートも含めて必要となる、
もしくは集まってくる人口は更にあるでしょうし、
ILCは国際的な研究施設ですから、将来、連携施設や
民間企業が近くに進出することも考えられますが。

その3000人以上の外国人の内、
直接的にILCを使って研究をする研究者の方々は、
それこそストイックに没頭する方もいるでしょうし、
ILCでの研究自体が目的で来日されるのだとは思いますが、
当然に研究以外の日常の生活も、日本で過ごさなければなりません。

ましてや、同行される家族がいれば、
その配偶者や子供は、その「日常」こそをいかに過ごすか、
が、問題であるというお話でした。

お迎えする側の日本、地元の行政、住民、企業 等々としては、
色々と考えることが多岐にわたるなぁ、と。

どうしても、「ILC誘致」をベースにした、
「商売」という視点だけで見ていくと、
目が行き届かない点が多く出てしまうのではないかな、
等と考えつつも、一応、不動産が本業なので、

「空家の古民家をリノベーションして、研究者家族用の
住宅を提供したらいいよね。」

と、誰でも思いつく事を私も夢想してみましたが、
よくよく検討すると、
当たり前ながら、そう簡単にはいかないようで。

そもそも、「古民家」が残っている場所の立地を考えてみれば、
都市部から離れているものがほとんどですから、
・生活利便施設が近隣に少ない
・交通手段が限られる
・冬場の雪対策
・子供がいた場合の教育の問題
・言語的にサポートできる環境・人材が無い
・古い家屋を外国人が生活できるレベルにリノベするのには
 結構な費用が掛かる→相場とかけ離れた賃料になる
等々、「日常生活」の利便性を考えれば、
簡単に乗り越えられる問題で無いコトがたくさんあります。

ちなみに、調べてみると、
ILCの検討用地に近いところで、
1000坪くらいの山林込の土地が付いた民家が、
100万円~300万円程度の価格で売りに出されたりはしています。

元がこのぐらい安いとはいえ、建物自体が古いので、
外国人研究者家族の使用に耐えるようにリノベするとなれば、
やはり千万単位で費用は掛かると思われ、
その上で、賃貸するとなると、やはりそれなりの賃料になってしまいます。

いくら環境が良い(日本の原風景を感じられる、とかの面で!?)とはいえ、
生活利便性が低い場所で、高い賃料を払う人は、
少数派だと思うのです。

それなりの「街」を形成しているところまで出れば、
それこそ「地方」であることもあり、
家具付きの新築アパートでも4万円台から借りることができますし、
一方、外国人子女を受け入れる学校の事を考えると、
仙台にメインの住居がないと難しいと言いう事もあります。

場所も時期も内容も違いはありますが、
外国人研究者・家族を対象とした住宅供給事例として、
青森県の六ケ所村での例では、
単身者向けの40㎡アパートで家賃は4.3万円/月、
175㎡ある4LDKの村営住宅は、当初16万円/月の家賃設定だったものを
最終的には12万円/月で入居してもらえた、というデータもありました。


ILC誘致によって、人が集まる、市場が生まれる、というのは、
間違いないのでしょうが、
その時に、そのユーザーの側に立って、よくよく考えないと、
道を間違うなぁ、と、つくづく感じました。


今後は、これを踏まえて、
「日本で仕事する外国人」から見た時に、
必要なモノ、コト、サービス、考え方、等々を検討し、
なにがしかの面でかかわれたらなぁ、と思っています。

IMG_9382.JPGのサムネイル画像

昨日の組合の懇親会の席で、私の席のまわりで
ちょいと話題が出ました「川柳」の味わいの話。

元々、言葉遊びは大好きで、過去にも
判じ物
判じ物2
等のネタをこのブログで紹介させていただきましたが、
そう言えば、「江戸川柳」を忘れてた、とばかりに、
今回は、その話。

まずはそもそも、「川柳って何?」ってところから。

古来親しまれている「和歌」の形式を、
滅茶苦茶乱暴に分類すると、このような感じに。

短歌・・・五七五七七の31文字で季語がある物
長歌・・・五七五七五七......と続いて五七七で終わる
狂歌・・・滑稽な趣を読み込んだ短歌
俳句・・・五七五の17文字で季語がある物
川柳・・・五七五の17文字で季語が無い物
都都逸・・俗曲で七七七五が基本

で、「川柳」はかなりルール無用で、
人情、世相、風俗などをテーマに風刺の利いた内容のものです。

「短歌⇔狂歌」と同じで、「川柳」も「俳句⇔狂句」として、
「狂句」と呼ばれたり、「川柳」の「柳」を取って「柳句」(りゅうく)
とも呼ばれます。

現在でも「サラリーマン川柳」等のように、
愛好家は多いようですね。

Wiki様によると、
「江戸中期の俳諧の前句附点者だった柄井川柳が選んだ句の中から、
呉陵軒可有が選出した『誹風柳多留』(はいふうやなぎだる、1765年-)
が刊行されて人気を博し、これ以降「川柳」という名前が定着した。」
とあり、「川柳」は人の名前だったんですね。


作者不明の物も含め、多くの江戸川柳が残されており、
研究者の方もおり、書籍もたくさんありますから、
改めてご紹介、というのも何なのですが、
個人的には、パッと見で意味不明で、
あとから「なるほど!」となるものが好きなので、
そのようなものをいくつか。

「店中の 尻で大家は 餅をつき」
(たなじゅうの しりでおおやは もちをつき)

「店(たな)」は長屋のこと。
長屋は共同トイレになっていて、
大家さんは、そこに溜まる「肥」を売って収入にしていました。
江戸の下肥は、いいものを食べているからと高値で買い取られ、
結構な収入になったそうです。
この収入で、大家さんは餅代を稼げたと、そういう話。

「瓜実を 見せて南瓜と とりかえる」
(うりざねを みせてかぼちゃと とりかえる)

これは、お見合いの席での話。
その昔、「瓜実(うりざね)顔」と言えば、
シュッとした美人への誉め言葉でした。
お見合いの席で、最初に瓜実顔の妹を見せておいて、
結婚式当日に角隠しに隠れて顔がよく見えないまま家に向かえたら、
かぼちゃ顔の姉だった、と。

「十三日 鏡を出して 叱られる」
(じゅうさにち かがみをだして しかられる)

「十三日」は「じゅうさにち」と読み、旧暦の12月13日で、
年末の大掃除、「すす払い」をする日の事。
この「十三日」の意味が分からないと、理解できない句。
新年を迎える準備は、この日から始めるのが習わし。
昔の大掃除なので、それこそ、体中どころから顔まで
煤だらけ、埃だらけになるわけで、
そんな自分の姿を見せられても困るので、
「鏡なんか持ってくるな!」という親の声。

「ついに見ぬもの 元年の暦」
(ついにみぬもの がんねんのこよみ)

五七五ではないですが、これも川柳。
江戸時代は頻繁に改元があったので、
結局、「○○元年」と記された暦(カレンダー)を
見ることが無いという話。

「日に三箱 鼻の上 下 臍の下」
(ひにみはこ はなのうえ した へそのした)

「箱」は「千両箱」の事。
江戸には一日に千両のお金が動く場所が3か所あって、
鼻の上=目、なので、歌舞伎(芝居)
鼻の下=口、なので、魚河岸
臍の下、そういうことで、吉原だそうで。
芸能・食・風俗で大金が動くのは、今も昔も同じ、と。


実は、いわゆる「バレ句」と呼ばれる、
性風俗をテーマにした川柳も非常に多いのですが、
興味のある方は、ぜひ自分で調べてみてください。

yanagawa.jpg

画像は「川柳」とは関係ありませんが、
「川柳」をひっくり返すと「柳川」だなぁ、という
くだらない連想で、九州の「柳川駅」の案内板の画像を。

よろしければ昨年書いた「柳川の話」も見てね。

この記事を書いた人

斉藤 一則

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