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黒ひげのモノローグ

口・健康・食・旅、歯科医のひとりごと

2019年8月のアーカイブ

厚い日が続いています。くれぐれもお身体の調子を崩さないようお気をつけください。

前回フッ化物のお話をしました。フッ化物はう蝕の予防に重要ですが、私どもの持っている唾液はとてもう蝕予防に重要な働きをしているのをご存知ですか?歯の表面はエナメル質という組織で作られていて、お砂糖や炭水化物をお口にすると、変化した糖や酸の働きで表面の石灰化が一部破壊されます。1日三回食事をすれば3回エナメル質はダメージを受けているということです。このダメージを受けた表面を修復することが「再石灰化」と言います。唾液はこの再石灰化に大きく働いています。歯の表面はアパタイト(ハイドロキシアパタイト)でできていますが、このミネラルイオンが唾液の中から供給されるのです。中学時代に理科の実験で塩を水に混ぜて飽和水溶液を作ったのを覚えているでしょうか?塩はこれ以上混ぜても結晶のまま残りますが、唾液のミネラルイオンは「過飽和」という状態でたくさん存在しているのです。これが歯を守ってくれています。唾液が歯に触れている時間、これが重要なのですね。

唾液は1日に1Lから1.5L分泌されています。再石灰化以外にお口の中の粘膜が傷つかないよう「湿潤」しています。口腔乾燥は粘膜へのダメージが大きくなるのです。また食物に含まれる炭水化物を糖に変える『消化」の作用があります。怪我をしたら唾をつけろとよく子供の頃言われました。これは間違いではなく唾液の中に「抗菌」の作用があるからなのです。最近の子供達はこのようなことはしていないかもしれませんが・・笑。食べかすを洗い流す「洗浄」の作用もあります。そして唾液により糖が作られるとお口の中は酸性になります。この酸性になった状態を正常な中性にする「緩衝」する働きもあるのです。そして傷ついた粘膜を「修復」する働きもあります。唾液ってこんなに働きがあるのですね。お口は体の入り口ですから、唾液は体を守るためにこのような様々な重要な働きを持っているのではないでしょうか。唾液ってすごいです!

鱧の季節です。美味しいものを食べると唾液が沢山でます。唾液を出して暑い夏を乗り切りましょう。

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この記事を書いた人

柏崎 潤

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