メンバーズブログ

マクロの眼

プロジェクトエンジニアを僭称(?)中

2017年3月のアーカイブ

東日本大震災前、仙台市の沿岸の貞山堀沿いにはかつて仙台亘理自転車道という長大な自転車道があったですよ。

岩切から入って海岸線沿いの松林をひたすら走り、途中乗馬クラブやら閖上のサイクルセンターまで。さすがにそこから亘理まで行くと帰れないので、閖上から名取川&広瀬川を遡上して、当時住んでいた北山まで、およそ50km。松林の中はほとんど走る者もおらず、海の音と自転車が風を切る音だけの、都市の空間として不思議な場所。カサマは学生時代から社会人に至るまで、体力錬成の一端で何度も走っていたものです。

が、2011年、例のアレで沿岸部の自転車道は完全崩壊!

5年間ほとんど復旧しなかったのですが、このたび仙台市内の沿岸部の約半分が復活。そこで見たのは、政令指定都市のメトロポリスの沿岸部とは思えない、美しくも異常な光景が広がっていたのでした。

場所: 荒浜海岸 2017年3月12日 13:32

【完全に一致】

清浄の地17264702_1368362403202874_3121370711255130028_n.jpg

ああ、どこかで見たことのある風景だと思ったら、ナウシカの「清浄の地」だ。

清浄の地16711851_1368362426536205_7618996582287990582_n.jpg

昨日は仕事もせずに、ひたすら自転車で閖上から荒浜まで。
仙台市の沿岸部は居住が禁じられ、あたかも禁忌の地のごとく、人の姿が殆どない「清浄の地」。

清浄の地17201034_1368362513202863_7281261011754532243_n.jpg

植物と動物の再生と、奥には巨大な光り輝く防潮堤20世紀の人類が建造した自転車道の橋の跡が、辛うじて残る、現実離れした世界の果ての風景。

清浄の地17202746_1368362486536199_8918395250557897025_n.jpg

だがここも明らかに仙台の地。
この「重要な日付」でも、人っ子ひとりおらず。風の音しかなく、この空間に人類は自分しか存在しないような、寂寥感
もっと地元の人間は、この景色を目に焼き付けておくべきだと思うんですね。

清浄の地17201126_1368362453202869_987807921147962385_n.jpg

この空間に身を置き、感じることで、この地の、或いは人類の行く末を考える、貴重なひと時になります。

<補足>

驚くべきコトに、かつてはこの貞山堀沿いはかなり巨大な松林の中だったので、こんなに視界は開けておらず、むしろ森の中を走っているような感じだったんですね。それが津波でご覧の通り一掃されてしまいました。

一方、かつてのサイクリング道は一部修復が続いており、開けた視界を西側に転じると、以前は絶対見えなかった都心のビル群などが見えたりします。

清浄の地17157817_1368590219846759_3272797284585459473_o.jpg

かつての松林再生のための柵が、永遠と続く先に都市群が見えるこの風景も異様

清浄の地17158895_1368591199846661_3548902775864882651_o.jpg

復元されつつある南北を貫くサイクリングロードの上から、東と右では全く違う風景が広がります。

元々仙台の沿岸部は、荒浜地区を除くと集落が皆無で、一種の「禁忌の地」のように都市から隔離されていたんですね。日本の大都市が海に面して発展しているのとは、明らかに違う。何かこう、「境界線上にいる」感がものすごく感じられるスポット。

自動車も入れないし、近くに公共交通機関もないため徒歩でも行きにくい。自転車乗りのみが体感できる境界世界。ココを走っていると、「ああ自分はリアル風の谷のナウシカの世界に来てしまったんだ」と嘆息しながらも、一方で震災をきっかけに拡がった自分のシゴトを考え、「うだつのあがらねぇ平民出にやっと巡って来た幸運か、それとも破滅の罠か。」(クロトワ)とリアルに考える自分に驚きあきれる、いとおかし候

さくら野百貨店陥落ッ!

2月も最後の月曜日の朝から、駅前は突然の店舗閉鎖でちょっとした騒ぎに。すぐに帝国データバンクの倒産情報が流れます。

最近エスパル東館やパルコ2などの出店が相次ぎ、仙台の商業の中心が駅前に移った感のある昨今。その中でさくら野は非常に苦戦している様子は見て取れましたが、見なさすがに「まさか!」と思った・・・ということもなく、「やはり・・・」という感想を口々に語り合う時点で、多くのセンダイ人たちは、さくら野の行く末を予想していたのでした。

次はこの駅前一等地に何ができるのか?楽しみだなぁ。

2月27日 12:38 · 仙台市

【Road To Rebirth】
ダックビブレ、いや、古い仙台人には丸光デパートと言った方がピンと来るか。
仙台駅前さくら野、陥落であります。
一部テナントフロア以外、閉鎖。

丸光16996401_1352707764768338_251700182531839040_n.jpg


次は何が入るのかしら?

たまたま本日、産業振興事業団出勤日だったので、内部ではちょっとした騒ぎに。

丸光16999087_1352707771435004_8124333734747553931_n.jpg

すでに「震災バブル崩壊後の世界」にいると、改めて体感せり。

統計情報や、街中で大量発生中の「テナント募集」の張り紙、カサマへの相談案件、そして今日の「さくら野陥落」など、あらゆる客観情報も体感情報も急下降。

2017-02-27 15.21.07.jpg


震災直後よりよっぽど悪い。

丸光16996528_1352707811435000_9180122280215457118_n.jpg

こんな不安感は、生まれて初めてですなぁ。
ポストアポカリプスも間もない・・・。
God save Sendai.

<補足>

かつての地方を代表する百貨店の突然の破綻と言えば、思い浮かぶのは浜松の松菱デパート

wiki「松菱」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%BE%E8%8F%B1

その突然の陥落やその遠因となった積立金優待制度「松菱友の会」の顛末など、非常に興味深いのですが、それより驚くべきことは、都市圏人口100万人を超える大都市にもかかわらず、2001年の破綻以来、駅前商業用地の一等地の破綻後の建物がその後15年近くにわたって放置され、最近ようやく解体されたと思ったら、再開発も遅れ、完成が来年2018年と、実に20年近い歳月がかかったという事実です。市民は皆、「松菱の所は一等地だから、すぐ別のテナントが入るか、再開発されるだろう」と漠然と思っていたら、いつの間にか気づかぬうちに15年以上たっていらそうな。

「いや、浜松の都市圏人口はセンダイの半分だから」と安心してはいられません。

さくら野百貨店の向かい側にある旧仙台ホテル跡に、本格的再開発までの5年間の暫定商業施設の位置づけの「EDEN (エデン)」が開業したのは、2011年7月。

今は2017年ですぜ。

エンドーチェーンやエンタツパーキングがある仙台駅前の「中央南地区」の再開発が、1999年に中央南地区まちづくり協議会ができて以来既に18年たっている前科を忘れたか、センダイジン。1999年って、アンゴルモアの大王が襲って人類滅亡した20世紀の話です。

そんな他都市のケースや前科を考えると、この案件、意外に長引くぞ?と思ってしまい、結局、丸光デパートであるところのさくら野百貨店が陥落した理由など、もはやどうでも良くなってしまい、何もナゾ解きすることなく今回のブログを終え、年度末の報告書作成業務に戻る、ある日のカサマなのでした。

この記事を書いた人

笠間 建

他のメンバーを見る

  • ちょっと知りたい不動産の一口知識
  • 四方山雑記帳
  • hariu Blog
  • めっけもん
  • 仙台・宮城のうまいもの&直売所めぐり
  • コバチャンの深〜い話
  • 小さなギモン調べてみました!
  • 建築と風景
  • ぽらぽら物語り
  • ほっとひといき!
  • マクロの眼
  • ローカル・グローバル
  • トキの目
  • 空飛ぶ「こころ」
  • 黒ひげのモノローグ
  • まるでかく
  • 女将のつぶやき
  • インフォメーションブログ